どこぞの世界に、街の警備と軍隊の援軍、二役を務めている組織がある。 その名は戦闘救助隊。 数十年前、今の国王が隣国との戦争中に、義勇軍を募集したことが始まりである。 月日がたち、今や警察の力も超えるようになった戦闘救助隊には、優秀な隊員が多数所属している。 そして、その中の何人かは属性力を持っていた。 その人の強さや性格などで属性力は変わってくる。普通はその中から隊員たちのリーダーが選出されていた。 だが、この時点では例外が1人。 特殊部隊『チームSPEED』のリーダー、正男である。 彼には属性力はない。だが、行動力と体力がそれを補っている。 日頃から優秀な隊員であったため、彼の友人たちと共に昇進したのだ。 そんな彼が、仲間たちと共にある大事件に巻き込まれる。 それは、後々まで犠牲が広がる大戦争の序曲。 だが、戦士たちはそれを知らない。この先、自分たちの身に何が起こるかも。 長編1 Beggining of Fighting 事件の始まりは、夏の夕方だった。 とある森に住むペトモンが、森林管理人の何人かを惨殺したのだ。 野生動物であるペトモンは、他の獣と違い、環境適応力や頭脳がずば抜けて良い。 相手を敵とみなせば、それぞれが持つ属性力を駆使して倒そうとする。 過去にも、ペトモンによって亡くなった人は多い。だが、今度の事件は少し違った。 普通、敵を倒したペトモンはすぐに落ち着く。しかも、そう滅多には人を相手にすることはない。 だが、森林管理人たちを殺害したペトモンたちは、そのまま人里へ向かった。 そして、会う人々をすべて殺していったのだ。 まるで何かに操られているかのように。 戦闘救助隊本部では、すぐに緊急会議が開かれた。 この事件を早く解決しないと、犠牲者はさらに増えるだろう。 特殊部隊や普通部隊の隊長たちによって、会議は素早く、しかし内容はしっかりと進められた。 普通部隊は直ちに各地へ出動し、まだ被害の出ていない場所を守ることになった。 そして特殊部隊『チームSPEED』と『チームPOWER』のリーダー及び副リーダーが残った。 その時会議室にいたのは、『チームSPEED』リーダーの正男、副リーダーのザトシ、沙希。 そして『チームPOWER』のリーダーであるトレイド、副リーダーの浩二、啓祐だった。 この6人が中心となって、事件解決を目指そうとしていた。 ここでそれぞれのキャラの属性について補足する。 ザトシは風。沙希は水。トレイドは雷。浩二は地。 そして正男と啓祐は無属性だ。 それぞれの属性は、今後のストーリーに大きく関わってくる。 正男:俺たちがすぐにやらねばいけないのは、もちろん事件の元を探ることだ。 トレイド:ペトモンが勝手に暴走するはずはないからな。だれかが操っているのだけは確かなんだ。 沙希:でも証拠があるわけでもないしね。 啓祐:ねぇ、今ペトモンはどこらへんにいるんだ? ザトシ:レーダーによると・・・最初の犠牲者が見つかった森から10q南の街だな。 トレイド:そっちには確か小さな街じゃなかったか?だとしたらまずい事が起こるぞ。 浩二:すぐに出動しなきゃ!!誰が行く? ザトシ:ちょっと待て。なんで普通部隊が出動しないんだ? 正男:人出が足りないのさ。単純だが致命的な理由だろ? 沙希:ならば私たちが行くわ。隊員30人で十分だと思うから。 浩二:僕やトレイドはお留守番か。 トレイド:ただの留守番じゃないぞ。本部防衛の仕事もあるからな。 正男:行くのは俺とザトシ、沙希でいいな。 啓祐:待ってくれ。僕も連れて行ってほしい! トレイド:お、おぃ啓祐!!お前は俺たちと留守番だぞ。 啓祐の突拍子もない発言に、一同は微妙に慌てた。 正男:なんでだ? 啓祐:街の人たちが殺されていくのを、この本部で見てろって言うのか? 正男、僕を連れて行ってくれ!人手も足りないだろう? 正男:足手まといにならなければいいけどね。 トレイド:そういうことなら任せた。 だが、この時の判断が後に影響を与えることとなる。 実は副リーダーとはいえ、啓祐の実力は普通部隊の隊員たちと同レベル。 つまり、特殊部隊内で考えると、結構足手まといな存在であった。 それでも正男が同行を許したのは、彼と啓祐が親友だからである。 浩二:よし!じゃ急いでヘリを用意しよう。 ザトシ:事件の元を探る者、事件進行を食い止めに行く者。分け方は? 正男:俺が、始まりの森に行く。ザトシ、沙希、啓祐は隊員たちと一緒に近くの街を守りに行け。 トレイド・浩二は他の隊員たちと留守番だ。しっかり本部を守れよ。 浩二:なにか連絡があったら僕の無線に連絡してね、兄さん。 沙希:それじゃ、行くわよ!! それから1時間余り後、正男たちを乗せたヘリは、始まりの森上空を飛行していた。 正男:とりあえずここで降りる。下で合流しよう。 沙希:なにか手がかりが見つかるといいね。 啓祐:逝ってらっしゃい。 ザトシ:梯子を降ろせ!!気をつけろよ。 正男は梯子から飛び降り、無事に着陸。 ヘリは彼の上空を小さく旋回し、ふもとの街へと向かった。 正男:早いとこ解決しちまおうぜ。行くぞ!! すべてが始まろうとしていた・・・・・・。
To be continued...